研究概要 |
1.マグネシウム(Mg)輸送蛋白質の候補遺伝子のスクリーニング: 作製したMg耐性細胞と対照野性株細胞より各々mRNAを抽出してcDNAを合成した。これらを用いてDNAマイクロアレイを用いて両細胞の遺伝子を比較し、Mg耐性細胞に特異的に発現が増加している遺伝子を選出した。200個近くの候補遺伝子が認められた。その中で、既知の遺伝子が52個ほど同定された。残りは機能未知の遺伝子であった。現在各々の遺伝子について機能・発現を検討しているところである。 2.Mg輸送蛋白質の同定: 上記遺伝子の中から、Mg輸送活性を示す可能性がある膜タンパク質を選出した。CRR-9 (Cisplatin-resitance related genes)遺伝子のcDNAを動物細胞一過性発現ベクターに組み込み、リポフェクチン法を用いて野生体細胞に遺伝子導入した。各々の細胞内Mgイオン濃度測定を行った。Mgイオン濃度は蛍光Mg指示薬furaptraのAM体を細胞に導入し、その350nm励起及び380nm励起蛍光の強度比から細胞内Mgイオン濃度を求めた。遺伝子導入した細胞でのMg輸送活性は野性株と比して変化を示さなかった。しかしながら、ノザンブロット法によるmRNA量を耐性細胞と野性株を比較すると、明らかに耐性細胞ではmRNAの増加を認めた。そのため、間接的にCRR-9はMg輸送活性に影響を与えている可能性が示唆された。 その他にcalcineurin B subunit, lymphocyte cytosolic protein 1が候補遺伝子として考えられたため、同様に一過性発現ベクターに組み込み野性株に遺伝子導入した。Mg耐性の獲得を得られるか検討したが、高Mg培養液での耐性は得られなかった。
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