(1)SCA14モデルマウス作製について 我々が発見したPRKCG遺伝子変異を組み込んだヒトPRKCG cDNAと野生型ヒトPRKCG cDNAを発現ベクターに組み込み、これらを用いたノックインマウス作製に着手しており、現在進行中である。 (2)原因遺伝子が未知の遺伝性脊髄小脳変性症(SCA)におけるPLCB4遺伝子解析 PRKCGを含むイノシトールリン脂質を介する情報伝達系は小脳機能の重要な役割を担っていると推定されるが、その情報伝達系を維持しているものとしてphospholipase Cβが知られている。そのうちphospholipase Cβ4(PLCB4)は小脳に高発現しており、加えてPLCB4ノックアウトマウスにおいては小脳性運動失調を発症することが報告されている。そこで、我々はPLCB4はSCAの有力な候補遺伝子であると考え、原因遺伝子が未知のSCA家系の発端者24名に対し本遺伝子解析を行った。その結果、6名において4種類のエクソン内遺伝子変化を認めたが、いずれもデータベース上でSNPsして登録されており、病的意義のある変化は認められなかった。今後も解析を継続予定である。 (3)多系統萎縮症(MSA)とFMR1 premutationとの関連について 脆弱X症候群はFMR1遺伝子におけるCGGリピートが200以上に伸長することにより発症する疾患であるが、最近50〜200リピートのpremutation allele所持者がMSA類似の症候および脳MRI所見をきたすことが報告されている。そこで我々はMSAと診断された72名を対象にFMR1 premutationの有無を解析した。その結果、対象中にFMR1 premutationを所持した症例はなく、両者の関連性は低いものと考えられた。
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