研究概要 |
Restless legs syndrome(RLS)の生理学的検討からの仮説としては運動,特に運動停止時の中枢からの下降性運動路の脱抑制と関連しているとされる.高頻度中枢神経磁気刺激(rTMS)により皮質興奮性の変化がRLSにおけるsensory-motorの興奮-抑制系の異常を変化させうると推論し,検討した. 体性感覚誘発電位の1次体性感覚反応であるN20のascending slopeに重畳する高周波応答(high-frequency oscillations ; HFOs)の発生機序についてはGABAergic fast-spiking nonpyramidal cellsやcholinergic pyramidal "chattering cells"の関与が推定されている. 8例の健常成人において右手首部の電気刺激による体性感覚誘発電位(SEPs)と体性感覚誘発高周波応答(HFOs)の記録を行った.これらの記録を以下のinterventionの前後で行った.session Aは10Hzの1500発の磁気刺激を左の運動野に与えた.session Bは90発のinterventional paired associative stimulation (IPAS ; ISI=25ms)とした.session Cは1Hzの1500発の磁気刺激を与えた.session Dはシャム刺激とした. session AではHFOsおよびN33-P25振幅は高頻度磁気刺激により有意に促通された.IPAS(session B)ではsession Aと同様の変化であったが,その変化率はsession Aよりも大きかった.Session Cとシャム刺激では変化は見られなかった. これらの結果はGABA作動性ニューロンがHFOsの発生機序に関与しているとの仮説には否定的である.残る仮説としてのfast-spiking or "chattering" cellsのHFOsへの関与について,次年度はRLSでの検討を加え,さらに,その感覚情報処理過程を検討することにより,至適な治療パラメータを決定していく.
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