【目的】 レヴィー小体病(LBD)剖検例の、中枢・末梢自律神経病理と臨床症状の後方視的研究、それを基盤とした前方視的臨床縦断研究、その両者の結合により、LBDの認知機能の背景病理を明らかにする。 【方法】 当施設DNA保存連続開頭剖検1590例より臨床・画像所見を抽出、抗リン酸化αシヌクレイン抗体(psyn)免疫染色で、中枢・末梢神経病理を再検討した。病理学的研究結果を基に、臨床クリニカルパス・データベース基盤を作成した。 【結果】 後方視的研究:DNA保存1590例の中枢神経病理再検索は完了、肉眼病理所見とレヴィー小体スコアによる病理学的評価と、認知症・パーキンソン症状に基づくステージ分類を続行、前者と後者は完全には一致せず。末梢自律神経系評価は663例まで施行。副腎のLBD病変と、臨床病理学的LBDパーキンソン病(PD)は認知症の有無にかかわらず完全一致。一方レヴィー小体型認知症(DLB)では、Alzheimer病(AD)や、高齢者タウオパチーを伴う場合は、陰性例が1/3に存在。皮内神経は、同様の傾向を示すが、感度が低い結果であった。前方視的研究:上記結果をもとに、パーキンソン病関連疾患初診例のクリニカルパスを作成、前方視的追求を開始。項目として、臨床症状は、UPDRS、神経心理検査としてはMMSE、長谷川式認知症スケール、FAB、SDS、自律神経症状は、Tilt testとCV-RR、画像はMRI・血流SPECT統計画像、臨床検査は髄液タウ、リン酸化タウ、アミロイドβ蛋白、HVA、5HIAA測定を必須とし、MIBG心筋シンチ、FDG/Dopamine PETを適宜追加することとした。現在症例蓄積中である。 【結論】 LBDの中枢神経病変と認知症状の対応は、末梢自律神経の臨床病理学的検索で、背景病理をより明瞭にできる可能性が示された。
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