研究概要 |
(1)血管平滑筋細胞に対するTZDsの抗動脈硬化作用 野生型マウスの血管平滑筋細胞(VSMC)を採取し、過酸化水素による酸化ストレスや断続的高血糖によるアポトーシスを誘導した。TUNEL染色やラダーアッセイによるDNA断片化の検討にて、このアポトーシスはTZDsにより濃度依存性に抑制されることを認めた。TZDsによりWestern blotにおいてBcl-xなどのアポトーシス関連蛋白発現も変化し、TZDsによりアポトーシスが抑制されることを確認した。VEGFによるVSMCの細胞増殖はTZDsにより抑制され、レプチンの同時添加によりTZDsによるアポトーシスや細胞増殖抑制は減弱した。レプチン受容体欠損db/dbマウスにてTZDsによるVSMCのアポトーシスや細胞増殖抑制作用を検討中である。 (2)血管平滑筋細胞におけるTZDsの抗動脈硬化作用におけるAMPKの関与 VSMCのAMPK (AMP-activated protein kinase)は、過酸化水素、酸化LDL等の酸化ストレスにより亢進する。TZDsやアディポネクチン投与にて、VSMCにおけるAMPKのリン酸化が亢進し、レプチンにてAMPKのリン酸化が減弱した。更に、VSMCにおけるTZDsによる細胞増殖抑制などの抗動脈硬化作用に対するAMPKの関与を検討中である。 (3)マクロファージに対するTZDsの抗動脈硬化作用 THP-1など単球系細胞にて、TZDsがCD36、SR-Aなどスカベンジャー受容体を調整し、MCP-1,MMP-9などの発現を抑制することを定量的PCRで認め、抗動脈硬化作用が示唆された。 (4)ヒトにおける食後高血糖是正による抗動脈硬化作用 2型糖尿病にて食後高血糖是正によりICAM-1、VCAM-1などの接着因子やhsCRPなどの炎症マーカーや尿中80HdGなどの酸化ストレスマーカーが低下した。
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