1.リコンビナント蛋白作成、生理機能解析実験 (1)リコンビナント蛋白の性質 哺乳類細胞から分泌されるmusclinは、大腸菌で合成されるリコンビナント蛋白より分子量が、約3-5kD大きかった。これは何らかの分子修飾を受けている可能性があるものと考えられる。これまでの解析では糖鎖修飾は明らかではなかった。また、約10kDの切断体が認められた。これはKKKRに変異を導入すると見えなくなることから、この部位で特異的に切断されるものと判明した。 (2)リコンビナント蛋白のin vivo投与実験 哺乳類細胞由来リコンビナント蛋白をマウスに静脈注射したところ、約5-10分で半減したことから、極めて血中半減期の短いホルモンであることが分かった。 (3)リコンビナント蛋白の培養細胞への添加実験 リコンビナント蛋白をC2C12培養骨格筋細胞に添加したところ、インスリン応答性の糖取り込みが抑制された。また、同細胞のインスリン応答性のグリコーゲン蓄積も抑制された。また、H4IIEC3培養肝細胞に添加したところ、糖新生が増加することが分かった。培養膵β細胞、脂肪細胞に対しては、明らかな作用を認めなかった。 2.抗体作成、血中濃度測定系の構築 哺乳類細胞由来リコンビナント蛋白をウサギに免疫し、ポリクローナル抗体を作成した。しかし、どのロットも感度は十分あるが、特異性に乏しく、血中濃度を測定するには不適切と考え、現在、モノクローナル抗体を作成している。今後この中から特異性の高い抗体を選別し、ELISAシステムを構築する。
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