研究概要 |
<背景>アクアポリン-2 (AQP-2)は腎集合尿細管細胞におけるAVP依存性の水チャネルである。以前、in vivo SIADHモデル動物実験において、低浸透圧もしくは体液量過剰により、AVP高値状態下であってもAQP-2mRNA発現が減弱されることを明らかにした(T.Saito, et al. Kidney Int 60:1266-1276,2001)。このことからAQP-2転写調節にはAVP非依存性因子が存在する可能性、特に浸透圧による調節機構が存在する可能性が示唆された。本研究は浸透圧がAQP-2転写活性を直接に調節しているかどうかを検討した。 <方法>マウスAQP-2 promoter (-9.5kbまでの種々の長さの遺伝子)をLuciferase reporter plasmidに組み込んで、MDCK細胞にトランスフェクションを行った。種々の刺激を加えた際のAQP-2転写活性を検討した。 <結果>-6.1kbより長いAQP-2 promoterを組み込んだPlasmidでは高浸透圧刺激によりLuciferase活性が上昇した。AQP-2 promoter領域-570から-560にはこれまで浸透圧に反応する部位として知られているTon E (tonicity-responsive enhancer)が存在するが、この領域を含む-4.3kbより短いpromoterを組み込んだplasmidでは高浸透圧刺激には反応しなかった。 <結論>高浸透圧はAVP非依存性にAQP-2 promoter活性を刺激しており、その反応部位はAQP-2上流-6.1〜-4.3kbに存在することが示唆された。今後は低浸透圧刺激に反応する部位がないか、更なる検討を進める予定である。
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