研究概要 |
これまで我々は、Lewisラットヘのヒト組換えC蛋白免疫にて、特発性炎症性筋疾患、特に多発性筋炎の実験モデル動物である実験的自己免疫性筋炎(experimental autoimmune myositis, EAM)を安定して誘導できることを確認し、また、EAM筋炎組織へのCD8陽性T細胞浸潤と、同細胞上のInducible Costimulator (ICOS)の発現を認め、報告した。 今回我々は、6週齢の雌Lewisラットに、ヒト組換えC蛋白フラグメントを週1回、計3回免疫すると共に、抗ICOS抗体またはコントロール抗体を、初回免疫の1週間後から週2回投与した。最終免疫の2週間後(day28)にラット後肢筋組織を採取し、HE染色・鏡検を行い、炎症スコアを測定した。また、各種1次抗体を用いて免疫染色を行った。また、リンパ節と脾臓からリンパ球を分離し、C蛋白に対する反応性を検討した。 コントロール抗体を投与したC蛋白免疫ラット筋組織では無治療ラットEAMでの検討と同様な激しい筋炎所見を認め、筋炎組織へのCD8陽性T細胞とCD11b/c陽性マクロファージの浸潤と、CD8陽性T細胞におけるICOSの発現を認めた。また、リンパ節細胞や脾細胞においては、C蛋白の刺激によって、用量依存性に^3H-thymidineの取り込みが増加し、C蛋白反応性T細胞が誘導されていると考えられた。一方、抗ICOS抗体投与群ではコントロール抗体投与群に比べて組織学的炎症スコアの有意な改善を認めた。また、筋組織においてICOSの発現は認めなかった。 上記の結果は本EAMモデルの病態形成におけるICOS-ICOSリガンドの相互作用の重要性を示すと考えられた。
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