研究概要 |
1、Hepatic veno-occlusive disease (VOD)/Thrombotic microangiopathy (TMA)モデルマウスの作成:全身放射線照射、あるいは、ブスルファンの投与によるVOD/TMAモデルマウスの作成は現在進行中である。一方、VOD/TMAの発症は血管障害に起因しているので、シクロスポリンA(CSA)やタクロリムスなど造血細胞移植時に頻用される薬剤で血管障害を惹起する薬剤、あるいは、感染症を併発した時に血管障害を惹起する菌体成分であるlipopolysaccharide (LPS)、これらをマウスに投与することにより、血管障害のマーカーの一つである血漿von Willebrand factor (vWF)値の上昇をすでに確認した。 2、Oxidantの細胞障害活性に対するHeme oxygenase-1(HO-1)の作用:肝血管内皮細胞のcell lineであるLiver endothelial cell (LEC)にCSAを添加することにより、その培養上清中にvWFが放出されることを確認した。また、LECはHO-1産生促進物質(cobalt protoporphyrin, CoPP)の添加により、HO-1を産生することを確認した。当初、Protoporphyrin disodiumがHO-1の産生を惹起するものと推測していたが、産生を認めなかった。そこで、他の数種の薬剤について検討を行ったところ、LECのHO-1産生を促進する薬剤を数種類発見した。 3、HO-1の免疫系への作用:CoPPは樹状細胞のHO-1産生を促進するとともに、樹状細胞の抗原提示能を抑制することを確認した。
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