研究概要 |
私達はDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)に対する治療法として、アンチセンスオリゴヌクレオチド(AS-Oligo)を用いてスプライシング促進配列の機能を阻害することにより、エクソンスキッピングを誘導し、機能的なジストロフィン蛋白を発現させる方法を検討している。今回の研究は、ジストロフィン遺伝子のスプライシング促進配列に結合し、AS-Oligoによってその役割が阻害される核蛋白を同定し、機能を明らかにするものである。 今年度は、核蛋白について検討する前に、まず、エクソンスキッピングの誘導によるジストロフィン蛋白の発現について、インフォームドコンセントを得て採取したDMD患者由来の筋培養細胞を用いて検討した。 AS-Oligoとして、RNAとの結合能が強く、ヌクレアーゼに耐性な、2'-O,4'-C-ethylene-bridged nucleic acid(以下ENA)を含むRNA/ENAキメラを用いた。ジストロフィン遺伝子エクソン19のスキッピング誘導効率について、RNA/ENAキメラと、従来使用していたフォスフォロチオエイトオリゴヌクレオチドとを比較し、RNA/ENAキメラの方がより強力にスキッピングを誘導することを明らかにした(Oligonucleotides.14(1):33-40,2004)。エクソン45のスキッピングを誘導するRNA/ENAキメラをDMD患者由来の筋培養細胞に導入し、免疫組織染色にてジストロフィン蛋白が発現することを確認した。また、エクソン41のスキッピングを誘導するRNA/ENAキメラも確立し、DMD患者由来の筋培養細胞に導入し、スキッピングが誘導されることをmRNAの解析で、ジストロフィン蛋白が発現することを、免疫組織染色及びウエスタンブロット法で確認し報告した(Human Gene Therapy. 15(8):749-757,2004)。
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