研究概要 |
近年、生体リズムを司る時計遺伝子が同定されて小児型慢性疲労症候群の発症原因の一つに時計遺伝子の異常も示唆されている。そこで時計遺伝子の発現量の周期パターンを評価することは、睡眠と覚醒の異常、ホルモン日内変動などの知見を遺伝子レベルで証明することになると考え、生体リズムの制御機構と遺伝的背景が解明されるならば、睡眠障害に対する治療法への応用が可能となり、特にヒトの時計関連遺伝子の発現に影響が大きいと考えられる高照度光療法が彼らの生体リズムを改善させ、小児型慢性疲労症候群の治療法として確立されることが期待される。まず、本年度に小児型慢性疲労症候群の患者24人の時計遺伝子を経時的に測定し、ヒトにおけるmPer2,Clock時計遺伝子の発現プロフィールを得た。我々はすでに健常人でのmPer2,Clock時計遺伝子の発現プロフィールを得ており、比較検討する事ができた。その結果リズム異常が有意的に認められた。また、高照度光療法施行し治療の前後での時計遺伝子の発現パターン評価をも施行した。その結果、臨床症状の改善とともにリズム回復を認める事ができた。このことは、小児型慢性疲労症候群の患者にとってmPer2,Clock時計遺伝子の発現プロフィールのリズム異常は発症因子として考えられる事が示唆された。また、同時に小児型慢性疲労症候群の患者の血清日内メラトニン、コルチゾールの変動測定、深部体温測定施行している。今後はこれらの睡眠覚醒リズム形成因子がどのようにシンクロナイズしているかを検討して行きたい。
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