CD83の生体内での機能を明らかにするため、CD83ノックアウトマウスを使用した。CD83ノックアウトマウス由来の細胞におけるMHC class II分子の発現量を検討したところ、CD83ノックアウトマウス由来抗原提示細胞ではCD83の膜表面での発現が低下しており、CD83欠損B細胞では野生型マウス由来B細胞に比べて約50%の減少が認められた。CD23やCD86の発現低下も認められた。しかしながら、細胞内のMHC class IIの発現量は野生型マウスと同等かむしろ亢進していた。抗原受容体刺激やLPSによる活性化刺激時のMHC class IIの発現増強も細胞表面では低下していたが、細胞内では正常ないし増強していた。さらに、CD83欠損B細胞を野生型マウスに移入してもMHC class IIの発現には変化がみられず、野生型B細胞をCD83欠損マウスに移入しても同様であった。MHC class IIの膜表面でのターンオーバーを検討したところ、野生型B細胞に比べCD83欠損B細胞ではターンオーバーの亢進が認められたため、このようにCD83はMHC class IIの細胞表面での安定性に関与していることが示唆された。このような制御機構がCD83による胸腺のポジテイブセレクションに関与していると考えられた。
|