1.研究計画に従って、インフォームドコンセントを得たアトピー性皮膚炎患者から表皮角化細胞を採取、培養し、また、手術検体から正常表皮角化細胞の培養を行い、正常対照群を得た。 2.血清中のIgE濃度を参考にして、得られた培養細胞に添加し、表皮角化細胞の増殖反応を検討中である。 また、表皮角化細胞(アトピー性皮膚炎由来、正常対照)において、IgEの存在下で、様々な炎症・抗炎症反応反応がどのように動くかを、まず、EotaxinなどのChemokineの産生を中心に検討している(RT-PCR、Real-time PCR、ELISA等)。同様のプロトコールを使用し、Th2型のサイトカインの細胞内転写シグナルで重要な働きをするSTAT6の動きに注目して、STAT6-Decoyによる抑制などを含めて検討をする予定である。 3.上記に関連して、in vitroにおいて、表皮角化細胞または線維芽細胞由来のeosinophil chemoattractant (galectin-9、eotaxin)産生をReal-time PCRやELISA、免疫組織染色等を用いて検討し、Eotaxin、galectin-9の産生について新知見を得た。現在、投稿準備中である。 3.これとは別に、アトピー性皮膚炎の病態を臨床面から検討し、IgE値、歯性感染症の存在との関連を見出した。すなわち、歯性感染症はよりIgE値の低い群において有意に認められ、この群は歯科的治療を行うことによってアトピー性皮膚炎も改善した。この成果は第103回日本皮膚科学会総会、第16回日本アレルギー学会春季臨床大会、第54回日本アレルギー学会総会にて口頭発表した。現在、欧米誌に投稿中である。
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