以前より培養していた表皮内メラノーマ細胞の一部に線維芽細胞の混入を認めたため、一度全てのセルラインについて検証を行った。そのため、現時点で、表皮内黒色腫のラインで解析がほぼ終了したものは1つのみとなった。この細胞株はプラスチック上ではあまり接着せず、ゼラチンのコーティングでよく接着するようになった。また多くの細胞成長因子をその増殖に必要としていた。ゼラチン上への接着能については、細胞成長因子の影響は、大きくは受けていなかった。しかしながら、この細胞接着における基質に対する依存性は、浸潤している足底の悪性黒色腫でも認められた。一方、体幹部より発症した黒色腫の場合には、このような基質依存性ははっきりしなかった。この表皮内黒色腫細胞が腫瘍であることを確認するために行った検索で、BRAFやNRASなどの遺伝子に変異はなく、かわりにcyclin D1の増幅が認められた。これは、近年Bastianらより報告されている臨床検体での研究結果に一致しており、接着能の違いは、表皮内であることよりも足底由来であることのほうが大きな要因である可能性も示唆された。現在、足底黒色腫で上記のような増幅パターンを持つ細胞株を、合わせて検索中である。 また、ホカに2つの細胞について、ようやく黒色腫かどうか検索する段階になっている。ここまで検索した結果が、たまたまこの細胞のみに起こっているものかどうか、という支店において、大変重要な分岐点となっている。
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