| 研究概要 |
昨年度、黒色腫であることが確認された細胞の基礎的な情報についてまず検討した。腫瘍細胞は染色体数に多くの異常が認められていた。この細胞は増殖がCaイオンとendotehlinに強く依存しており、SCFやbFGFの影響はほとんど受けなかった。EndothelinはB受容体を使用しており、SCFへの依存を失いながらも正常の色素細胞と共通の性質を維持していると考えられた。SCFとbFGFはmRNAレベルで発現しており、autocrine loopの存在が示唆された。EGFでも細胞増殖は昂進した。通常、接着条件下で増殖する細胞であるが、培地のpHの変化など、条件が悪くなると細胞塊を形成し、比較的長時間にわたり生存することが可能であった。しかし、この変化はendothelinの有無やCa濃度に影響を受けなかった。この細胞はMEKの阻害剤で細胞増殖に抑制がかかるが、通常の増殖状態ではERKのリン酸化がほとんど見られなかった。Caの添加時に一過性にERKのリン酸化が出現しており、現在、増殖におけるこのシグナルの意味についておよび増殖にかかわる他のシグナル伝達系についても合わせて検討中である。これらの成果については、6^<th> World Congress of Melanomaや色素細胞学会などで報告した。これらの結果を踏まえ、bFGF,SCF,EGF,endothelin4についてfibrin, collagenなどに対する接着能を検討することとした。
作成中の2細胞については、生存しているが増殖が非常に遅い状態が続いており、何らかの成長因子が必要なことが示唆されている。
一方、転移能を獲得している足底の黒色腫細胞では、接着にかかわり無く増殖が可能で、接着に適さない場合でも、浮遊状態で増殖していた。
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