1)IL-23遺伝子導入B16F10メラノーマの抗腫瘍効果およびそのエフェクター細胞についての解析 得られたIL-23産生B16F10メラノーマ細胞(B16/IL23)を同系マウスに皮下接種し、経時的に腫瘍径を計測したところ、腫瘍接種初期は抗腫瘍効果を示さなかったが、後期(接種約20日後)になって腫瘍径の縮小を示すマウスが認められた。この後期の抗腫瘍効果におけるエフェクター細胞を同定するために、抗CD8抗体、抗asialoGM1抗体、抗IFN-γ抗体処理によって各々を欠失あるいは中和させたマウスにおいて同様の計測を行なったところ、全ての処理群において抗腫瘍効果が消失した。腫瘍接種20日後から同様の抗体処理を行うと、抗CD8抗体、抗IFN-γ抗体処理群の2つにおいて抗腫瘍効果が消失した。 2)他のサイトカインとの相乗効果についての検討 まずrecombinant IL-12(rIL-12)およびrIL-18をマウスに全身投与して皮下接種したB16F10親細胞の腫瘍増殖に影響を及ぼさない最大量を決定した。次にB16/IL23を皮下接種したマウスに、その決定した投与量のrIL-12およびrIL-18全身投与を行い、これらのサイトカインとの相乗効果がないかを確認した。その結果、rIL-12では有意な影響が見られなかったがrIL-18では腫瘍の縮小が確認され相乗効果が認められた。 7)癌ワクチンへの応用の可能性の検討 マイトマイシンC処理したB16/IL23細胞あるいはコントロールベクター導入B16F10メラノーマ細胞(B16/C)のワクチンを、Day-14とDay-7の2回行い、Day0にB16F10メラノーマ親細胞を皮下接種した。その結果、B16/IL23ワクチン群ではB16/C群に比べて有意にB16F10親細胞の増殖が抑制されていた。さらにDay-15に抗CD25抗体を投与してDay-14にB16/IL23をワクチンしたマウスでは、その約8割においてDay0に接種したB16F10親細胞が拒絶された。
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