【目的】表皮細胞表面のTNFRp55を標的とした光老化防止戦略の確立を目標とする。TNFRp55はTNF Activating Converting Enzyme(TACE/ADAM17)によって切断され可溶型TNFRp55(sTNFRp55)になる。このsTNFRp55はTNFの効果を中和する事より、TACEを活性化することで光老化が防止できるか検討した。【方法】TACEは4-aminophenylmercuric acetate(APMA)によって特異的に活性化される。今回我々はAPMA付加がHaCaT・normal human epidermal keratinocyte(NHEK)に及ぼす効果を調べた。また、UVB180mJ/cm^2を隔日で6日間照射したSKHマウス(光老化モデルマウス)にAPMA200mMを照射6時間前に外用することによりマウスの光老化を予防できるかを生化学・分子生物学・病理組織学的に検討した。【結果】HaCaTおよびNHEKにUVB(0〜10mJ/cm2)を照射すると培養上澄中に含まれるsTNFRp55はUVB照射量依存的に減少するが、APMA200mMで刺激した培養上清中sTNFRp55量はUVB照射量依存的に上昇した。免疫蛍光染色およびFACSの検討でもAPMA処理した細胞内外のTNFRp55が減少していた。さらにAPMAはUVB照射(20mJ/cm^2)によるHaCaTのJNKのリン酸化を抑制することができた。APMA200mMを塗布したSKHマウスではUVB照射に伴う膠原線維の菲薄化が抑制される傾向が認められ、皮膚のwhole lysateを用いたザイモグラムではAPMA塗布したマウスの皮膚では紫外線照射によるMMPsの活性が抑制されていた。【結論】APMAは皮膚光老化を防止できる潜在能力があると考える。
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