研究概要 |
本研究は、常染色体優性遺伝を呈する遺伝性皮膚疾患に対する遺伝子治療の研究であり、RNAiを利用したmRNAレベルで遺伝子の発現抑制による遺伝子治療が技術的に可能かどうかを検討している。 具体的には、異常なIII型コラーゲンを発現する常染色体優性疾患であるEhlers-Danlos症候群IV型患者から樹立した線維芽細胞を用いて、遺伝子変異部分を特異的に認識するsiRNAを作成し、異常蛋白を発現する遺伝子のmRNAレベルでの抑制能を検証している。 方法:「siRNAのヒト線維芽細胞への導入実験」 実験には、Ehlers-Danlos症候群IV型患者から樹立したヒト線維芽細胞を用いている。これらの細胞は、既に変異部位が同定(全てIII型コラーゲン遺伝子の点変異)されているものである。変異部位を含んだ配列を標的として、siRNAを数種類設計する。理論的には、20種類前後のsiRNAが設計可能だが、順次設計し、それぞれについてsiRNAの細胞へのTransfection実験を行い、III型コラーゲン遺伝子のmRNA発現量をNorthern hybridization, RT-PCRにより測定し、その中で発現の効率抑制が最も高いと思われるsiRNAを最終的に選択する。対照として、正常人から採取したヒト線維芽細胞を用いて、III型コラーゲン遺伝子の抑制度合いを確認する。siRNAの持つ高い特異性から、正常のコラーゲン遺伝子のmRNA発現は抑制されないと推測される。 現在、この細胞導入モデルを作成、順次検討中である。結論を出すには至っていないが、さらに実験を重ね、検討を続けている。
|