研究概要 |
3次元Magnetic resonance imaging (MRI)を用いた脳体積計測研究では、統合失調症における中側頭回、下側頭回、紡錘状回、透明中隔腔の異常をそれぞれ見出した(Schizophr Res,2004; Am J Psychiatry,2004;2005)。また、統合失調症における前頭部・側頭部の脳構造異常のうち、どの部位が最も異常が強いかを、27名の統合失調症患者と27名の健常対照者で比較検討したところ、両側前部帯状回および両側上側頭回が同定された(Psychiatry Res Neuroimaging, 2004)。そこで上側頭回の機能の検討を脳磁図を用いて進めたところ、統合失調症における音素処理の異常が明らかにされ、その背景に上側頭回構造の異常がかかわることを脳磁図とMRIの組み合わせ研究により明らかにした(Neuroimage, 2004)。事象関連電位を用いた研究では、統合失調症の社会生活障害にもっともかかわりの深い事象関連電位成分N2bを同定した(Neurosci Res, 2005)。近赤外線スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy ; NIRS)を用いた検討では、Murrayによる異種性分類であるadult-onset/congenital schizophrenia分類によって語流暢性課題施行時の前頭部酸素化ヘモグロビン変化量が明瞭に異なることを見出し、統合失調症の生物学的異種性指標となる可能性があるとの予備的結果を得た。
|