研究概要 |
申請者らは、ドーパミンD2受容体遺伝子多型と抗精神病薬による統合失調症の臨床反応について系統的な研究を進めてきた。その結果、異なる遺伝子系を有する患者群間では、従来型抗精神病薬に対する治療反応性が明らかに異なることを報告した。すなわち,従来型抗精神病薬に対する治療反応者群と治療非反応者群が遺伝的に決定されている可能性が示唆された。更に、ある遺伝子型の組み合わせを保有する患者群では、他の群と比較し従来型抗精神病薬に対して著しく治療効果が不良であるという結果が得られた。そこで、今回は従来型抗精神病薬と比較し、1)錐体外路性副作用が少なく、2)陰性症状を改善し、3)難治例に効果が見られるといった従来型と比較し優れた治療効果を有する非定型抗精神病薬について、統合失調症での治療反応とドーパミンD2受容体遺伝子多型を中心とした神経伝達物質の受容体遺伝子多型との関連を検討すべく準備を進めている。現在、ドーパミンD2受容体遺伝子多型・ドーパミンD3受容体遺伝子多型・COMT遺伝子多型の同定が可能とした。また、その活性が遺伝的に規定されている薬物代謝酵素CYP2D6の変異遺伝子の同定も同時に行っており、これらの実験手法の効率化と精度の向上について検討を重ねている。
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