今年度は、研究実施を安全かつ効率的に行うための準備が中心となった。具体的には、まず研究実施にあたり倫理面に配慮するために、研究実施機関である日本医科大学付属病院および放射線医学総合研究所の倫理委員会に対して本研究の実施についての申請を行い、両施設の倫理委員会より承認を受けた。更に研究実施にあたり安全性を確保するために、研究対象となるうつ病患者および健常対象者に関して、募集・症状評価ならびに研究施設間の搬送に関する院内の体制の整備を行い、健常者に対して研究を実施することで体制の評価・確立を行った。 研究を開始するに当たり、対象とするうつ病患者に対して検査を行う前に、健常対照群のデータベースを作成することとした。このため健常者を募集し、ハミルトンうつ病評価尺度およびミニメンタルステート検査にて健常と診断され、頭部MRIにて脳器質的変化がないことが確認された16名に対して^<99m>Tc-ECDを用いたSPECT検査を実施し、健常対照群の脳血流分布のデータベースを作成した。PET検査に関しても対象とするうつ病患者に検査を行う前に、健常対照群のデータベース作成および[^<11>C]DAA1106を用いた末梢性ベンゾジアゼピン受容体の定量評価法を確立するために、頭部MRIおよび各種心理検査にて異常所見のないことが確認された健常対照者に対して[^<11>C]DAA1106を用いたPET検査を行った。そしてそれらのデータを基に[^<11>C]DAA1106に最適な定量評価法を確立すべく、解析法の検討を行った。
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