頭部MRIにて明らかな器質的病変を伴わないうつ病患者33名(認知機能障害を伴わないうつ病患者12名及び認知機能障害を伴ったうつ病患者21名)に対してハミルトンうつ病評価尺度による重症度評価及びミニメンタルステート検査による認知機能の評価を行った後、^<99m>Tc-ECDを用いたSPECT検査を実施し、統計処理ソフトを利用して健常対照群データベースを用いた比較検討を行った。認知機能を伴わないうつ病群(12名)は前部前頭葉を中心とした血流低下、うつ症状が改善した後も回復しない認知機能障害を伴ったうつ病群(14名)は後部前頭葉の血流低下、うつ症状改善により回復する認知機能障害を伴ったうつ病群(7名)は後部前頭葉・頭頂葉・後頭葉の血流低下を認めた。この結果、うつ病に伴う認知機能障害は回復するものと回復しないものとで治療開始時点で違いがあること、前頭-頭頂葉領域が、うつ病における認知機能障害の出現に関与している可能性があることを第6回国際老年精神神経薬理学会で発表した。 PET検査に関しては、被検者の募集を行い5名に対して、頭部MRI、各種心理検査、[^<11>C]DAA1106を用いたPET検査を行った。うつ病患者5名と年齢を一致させた5名の健常対象群を前頭葉・側頭葉・後頭葉・小脳・前部帯状回・被殻・尾状核においてミクログリアの活性を比較検討したが、いずれの部位においても有意差を認めなかった。この結果から今回の検討ではミクログリアは反復性うつ病においては活性化していないことが明らかになった。
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