豚(体重20Kg)を用い、正常肺をラジオ波熱凝固療法用の電極にて、数カ所を焼灼。焼灼直後、1週間後、4週間後にそれぞれに高分解能CTを施行、その後病理標本を作製し病理所見の検討を行い、高分解能CTと比較し、肺ラジオ波焼灼療法の画像、病理所見を検討する計画である。現在、豚2頭に対し、正常肺にラジオ波焼灼療法を施行、焼灼直後、1週間後における高分解能CTの画像を得た。直後においてはCTにて電極挿入部に一致して約2cm程度の浸潤性変化が認められ、焼灼が得られた範囲と考えられた。さらにその外側に索状変化、全周性のすりガラス様変化が広範囲に認められた。これらは周囲の出血、浮腫などをみていると推測される。1週間後ではこれらの変化が全体に縮小して認められた。現在、これらの検体の病理標本を作成中であり、これにより、ラジオ波凝固における焼灼範囲、焼灼範囲内の組織学的変化、その周囲の構造変化の画像所見、それに対応する病理学的所見を確立できると考える。今後さらに焼灼後4週間後の画像、病理組織を検討する予定であり、これらの検討と直後、1週間後との所見の比較により経時変化も明らかにすることができると考える。現在のところ、肺ラジオ波熱凝固療法は導入段階であり、本治療法に対するこのような画像、病理の報告は非常に少ない。この研究を進め、完成させることにより、その組織変化、画像所見を確立できることで、経皮的に局所治療効果が得られる本治療に明確な適応を導ける可能性があると考える。
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