豚正常肺を用い肺ラジオ波焼灼後および経過観察中のCT所見およびその病理組織像を比較、検討することを目的とした。17G cooltip針(2cm)を使用。3頭の豚を用い正常肺(片側)を3カ所焼灼し、3グループ(焼灼直後屠殺群、1週間後屠殺群、1ヶ月後屠殺群)に分け、それぞれ高分解能CT(1mm厚)を施行後に屠殺し病理標本(H-E染色)を作製した。それぞれのグループの画像所見と病理所見を対比、検討を行った。焼灼直後群ではCTにて25-30mm程度の浸潤性変化を呈し、辺縁部にはすりガラス状変化を認めた。病理組織は中心部の凝固壊死層、その外層に毛細血管の変性を伴い肺胞内出血が主体の水腫変性層を認めた。最外層は毛細血管のうっ血を中心としたうっ血水腫層であった。すりガラス状変化は最外層の反映と考えられ、正常肺と最外層との境界は比較的明瞭であった。1週間後屠殺群ではCTでは20-25mm大とサイズが縮小し、正常肺とは境界が明瞭な結節になり、空洞を認めた。病理組織像では最外層は被膜様であり肉芽、線維化が主体であった。中心部は凝固壊死であるも、外層に向けて様々な炎症性反応性変化が層状に認められた。空洞は中心の壊死部が気管と交通し排出されたと考えられた。1ヶ月後屠殺群ではCTでは瘢痕様の結節でサイズが著明に縮小していた。病理組織では大部分が線維化であった。肺ラジオ波焼灼療法において正常肺は辺縁にすりガラス変化を有する浸潤性変化から空洞を有する結節、瘢痕へと変化する過程が観察でき、またこれに対比する病理組織像の裏付けが得られた。焼灼直後で肺の変化がみられる最外層まで治療効果が得られると考えられた。
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