目的、方法:豚(SPF)(18-22Kg、平均19.7Kg)を用い、正常肺をラジオ波熱凝固療法用の電極にて焼灼。焼灼直後、1週間後、4週間後にそれぞれに高分解能CTを施行、その後病理標本を作製し肺ラジオ波焼灼療法の画像、病理所見を検討する。 結果:焼灼直後はCTにて浸潤性変化とその辺縁のすりガラス状変化を認める。マクロ像では中心部が茶褐色、中間層が黄白色、最外層が暗赤色の三層構造、組織像では中心部は凝固壊死、中間層は肺胞隔壁の血管変性が認められ、肺胞腔内の水腫が主体であり、水腫変性層と考えられた。最外層は中間層の血管変性に伴う肺胞隔壁の毛細血管のうっ血が主体、一部肺胞内の出血が混在し、細胞変性も認められ、うっ血水腫層と考えられた。 焼灼1週後はCTにて境界明瞭な円形結節になり、一部では空洞を伴っていた。マクロ像で中心部は茶褐色、順に黄色、赤褐色となり、最外層は白色のtarget状、組織像では中心部は凝固壊死であり、気管の熱変性を認め、好中球マクロファージが出現していた。黄色、赤褐色の中間層ではうっ血水腫のほか、様々な段階の炎症性変化が混在、最外層は炎症細胞浸潤を伴う線維増生が認められた。焼灼4週後はCTにて療痕状となり、サイズは著明に縮小、組織像では中心部は凝固壊死であり、最外層は線維化であった 結論:ラジオ波焼灼部はCTにて辺縁にすりガラス変化を有する浸潤性変化から空洞を有する結節、瘢痕へと変化する過程が観察でき、またこれに対比する病理組織像の裏付けが得られた。 焼灼直後ですりガラス変化となる最外層は病理上のうっ血水種層にほぼ一致し、この層は隔壁の毛細血管のうっ血と軽微な細胞変性を認め、この領域を治療の安全域として問題はないと考えられた。焼灼部は1ヶ月で大部分は瘢痕化し、この時期以降の腫瘤の残存、増大には注意が必要と考えられた。
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