^<18>F-FRP170はRP170という低酸素細胞放射性感受性増感剤を^<18>Fで放射性標識した薬剤である。RP170はnitroimidazole誘導体に属し、低酸素細胞に選択的に強く集積するという性質を有する。そのためこれを放射性標識することで低酸素細胞の画像化が期待される。さらにnitroimidazoleは集積機序から考えて壊死細胞には強く集積しないことが報告されている。逆に言えば^<18>F-FRP170が強く集積している領域は低酸素状態(虚血)かつ未だ生存している細胞ということができる。臨床的に心筋梗塞患者でこういった領域が多く検出できれば、積極的に血行再建術の適応となり、逆に検出できなければ侵襲的な手技は避けて保存的に薬物療法に専念する、といった治療法選択に重要な情報が提供できると考えられる。以上を踏まえた上で、実際に^<18>F-FRP170を用いて虚血心筋がどのように画像化できるかがが本研究の課題である。Wistar rat8週齢♂を用い麻酔および人工呼吸下に開胸し、左冠動脈を完全結紮して心筋梗塞モデルを作成した。結紮から何分後に薬剤を投与し、さらに投与後何分後にと殺すれば良好な画像が得られるかというプロトコル作成が最初の課題であった。今回の検討では結紮から30分後に薬剤投与し、その15分後にと殺して心臓の切片を作成しオートラジオグラフィを施行することで良好な画像を得ることができた。さらに血流製剤^<14>C-IAPをと殺直前に投与することで、^<18>F-FRP170と血流の画像を同一切片から得ることができ、詳細な比較検討が可能となった。両者の分布は明らかに異なっており、血流製剤の集積が低下している領域(虚血領域)中、主として辺縁に^<18>F-FRP170の高集積を認めた。この領域は虚血心筋中生存領域であることが示唆された。
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