研究概要 |
本年度は,正常ボランティアの脳実質を対象としてMR拡散テンソル解析の整合性を検討した。当院現有のMR装置を通常検査時間外に用いて,正常ボランティアを対象としてMR拡散テンソル画像を撮像し,各種パラメータの整合性を検討した。GE社製ワークステーション上で動作するテンソル解析用プログラムを用いて,trace画像およびFA画像を作成し、さらに拡散テンソル神経路画像を作成するために,当科画像情報処理・解析研究室で開発された汎用ソフトウェアVolume-Oneおよび拡散テンソル解析ソフトウェアdTVを用いて,神経路画像作成を行った。その際に各種パラメータを最適化について検討した。また作成された神経路画像を標準脳に投影することでMATLAB上で動作するSPM(statistical parametric mapping)上で統計学的解析すべく,神経路画像の標準空間への変換を行うような自作ソフトウェアを制作した。 上記と同時に,統合失調症患者および正常ボランティアの脳実質を対象としてMR拡散テンソル画像を撮像し,ROI解析を検討した。当院現有のMR装置を通常検査時間外に用いて,研究についての説明と同意に基づき,統合失調症患者および正常ボランティアを対象として,MR拡散テンソル画像を撮像した。GE社製ワークステーション上で動作するテンソル解析用プログラムを用いて,trace画像およびFA画像を作成した。これらの画像上に既知の知識から統合失調症患者群脳実質において異常が期待される部位を想定して関心領域を設定し,患者群と正常対照群の白質神経線維の拡散テンソルを評価し,海馬・傍海馬領域などにおける統計学的有意差を見いだした。
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