テルピン油を用いた化学的な炎症モデル、およびS.aureusによる感染性の炎症モデルを用いて検討を行った。 雄性ddYマウスの大腿部にテルピン油もしくはS.aureusを播種し、炎症組織を形成させた。炎症モデルマウスの尾静脈より^<14>C標識のデオキシグルコース(14C-DG)を投与し、30分後に炎症組織および反対側の大腿部筋肉(正常組織)を摘出した。摘出した組織はヘキサン-ドライアイス中で急速凍結させ、クライオスタットを用いて20μmの切片を作成した。筋肉および炎症組織の切片をイメージングプレートにコンタクトし、BAS1500を用いてオートラジオグラムを作成した。また、マウスにcAMPの分解酵素であるPDE4の阻害薬であるロリプラム(3mg/kg)を静脈内もしくは腹腔内に予め投与し、その15分後に^<14>C-DGを投与して同様に検討を行った。 正常組織における^<14>C-DGの取込みは取込みが非常に高い領域と低い領域とに区別された。ロリプラムの前処置により、高取込み領域における取込みが著明に低下し、一方で低取込み領域はあまり変化を生じないことが明らかとなった。炎症組織においては炎症の周囲に非常に高い^<14>C-DGの取込みを認めた。さらにロリプラムを前処置した場合でも^<14>C-DGの取込みの分布等は変化せず、正常組織におけるcAMPによる糖代謝の制御機構と炎症組織における制御機構が異なることが示唆された。 これより、FDG-PETによる検査等でcAMPへの反応性を指標に、正常組織と炎症組織を判別できる可能性が示され、炎症の検出のみではなく治療の効果の有無の判別にもFDGが有用であると思われる。
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