研究概要 |
本年度は肺癌における放射線肺臓炎の因子をおもに線量-容積ヒストグラム解析を用いて、retrospectiveな検討とそれに基づくprospectiveな検討をはじめること研究課題とした。Retrospecitveな検討については、2000年11月から2002年10月までに、I期非小細胞肺癌に対して定位照射を施行した19例を解析した。初期照射効果は10例でCR、6例でPRが得られ奏功率は84%であった。2年生存率は63%で、2年原病生存率は87%と対象が手術不能例が多くを占める割に良好な結果であった。肺の有害事象については、NCI-CTCAEver3.0で症候性の肺臓炎を示すgrade2以上の症例は1例のみであった。線量-容積ヒストグラム解析では、症候性の肺臓炎を示した症例を含め、V20は全例で15%未満であった。Prospectiveな検討については、2004年5月-2004年11月までに通常分割法、三次元原体照射および定位照射にて治療した21例を対象とした。肺に対する有害事象はgrade2以上が生じた症例が5例であった。現在までのところ、平均肺照射線量、V5,V10,V20,V40などと有害事象の関連は明らかではないが、肺に基礎疾患をもった症例に限って検討すると、V20は従来の報告(40%以下ではあまり症候性の肺臓炎を生じない)よりもかなり少ない容積で症候性の肺臓炎が生じている傾向が認められ、来年度も引き続き症例を集積してこれらの関係を明らかにする予定である。
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