研究概要 |
癌免疫におけるEffector memory cellはCD8^+ T-cellを代表とするT-cell phenotypeで外来抗原に対する拒絶反応を担う。癌再発予防、癌ワクチン療法の研究にも深く関与しそのメカニズムの解明に注目が集まっている。これまでの研究でサイトカイン遺伝子導入adenovirus(AdIFN-β,AdIL-12)を用いて強い抗腫瘍効果を示してきた。IFN-βによる抗腫瘍効果は生体の免疫を賦活することに起因し、CD8^+ T-cellがその中心的役割をはたすことを解明した。腫瘍治癒マウスヘの腫瘍再投与でも腫瘍細胞は完全に拒絶されたことから腫瘍免疫が確立された。この再投与において初回投与とは異なる腫瘍細胞も拒絶された。この現象はmemoryされた腫瘍免疫に何らかの交差活性が認められたことを示唆するものである。この腫瘍拒絶反応が違う腫瘍細胞同士にみられたことは腫瘍抗原の単純な類似性による交差なのか、免疫能賦活によるhypersensitivityなのかは不明であった。このmemory phaseにおける外来性の腫瘍抗原に対する免疫反応すなわち腫瘍抗原への再暴露における免疫担当細胞の再活性化には不明な点が多い。memory-CD4,CD8^+T-cellがその中心的役割を揖うと考えられているがその活性化経路、分布、局在などは不明である。このモデルを用いてmemory phaseにおける腫瘍免疫反応のメカニズムを探求した。本年度、AdIFN-β,AdIL-12投与による腫瘍免疫、交差活性の検討を行った。腫瘍再投与で明らかに交差活性を認め、CD4,CD8除去マウスではその効果が半減した。今後さらに詳細な検討を行い、抗原特異免疫のメカニズムを明らかにし、さらに腫瘍抗原に対するcloss-reactive-CTLsの存在についても探求したい。
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