研究概要 |
Reverse Transcription PCR(RT-PCR)法、Western blot法を用いた検索では、5種類の培養大腸癌細胞(HCT-15、WiDr、COLO205、SW480、DLD-1)において、KGFR mRNA、タンパクの発現をそれぞれ確認した。また、癌組織においては、56例中35例(62.5%)がKGFR陽性であり、高分化線癌組織において有意に高率に発現していた。以上の結果より、KGFRは_「増殖」のみならず、「分化」に関与している可能性が示唆されたので,培養大腸癌細胞(HCT-15、WiDr、COLO205、SW480、DLD-1)にRecombinant KGF/FGF-10、あるいはKGFR抗体で前培養を行なった後にRecombinant KGFを添加し増殖・遊走能、分化傾向について検討した。KGFの添加ではHCT-15の増殖が促進されたが、FGF-10の添加では増殖能に変化は見られなかった。KGFR抗体によるpreincubate後の細胞ではKGFの添加によって増殖の促進は見られなかった。 今回の結果から、KGFRはこれに結合するligand、すなわちKGFやFGF-10などにより「増殖」あるいは「分化」など異なる作用を発現している可能性が示唆された。 更なる検討により、新たなる分指標的治療の可能性も出てくるものと考えた。 (なお、siRNAによる検討も行ったが、手技および製品にも不安定な部分があると考え、今回の結果には含めなかった。)
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