Lewis系雄性ラット(200〜300g)をエーテル麻酔下に開腹し、肝臓を摘出した。移植肝の保存に準じてまず、4度乳酸加リンゲル液20mlにて門脈より潅流し、肝臓内の血液成分を除去した。直ちに37度乳酸加リンゲル液60mlにて門脈から潅流し、潅流圧の違いによりコントロール群(潅流なし群)、正常門脈圧で潅流した群、2倍の門脈圧で潅流した群、3倍の門脈圧で潅流した群を作成した。平成16年度にひきつづいて電顕による組織学的変化を検討した。また今年度は新たに虚血-再潅流状態における活性酸素の発生量を、酸素化したKrebs Hansleit Buffer (KHB)で潅流後、Dichlorofluorescein Diacetate含有KHBで潅流し、発生する蛍光発光の輝度を蛍光顕微鏡にて観察、記録し、発生した活性酸素発生量を群別、zone別に検討した。 <結果> 電顕による検討では、平成16年度と同様に3倍の門脈圧で潅流した群は、他の群に比べて、組織障害が著明であり、特にzone1での傷害が著明であった。 蛍光顕微鏡による活性酸素発生量を検討した結果では、再灌流後の活性酸素発生量は3倍圧群ですべてのzoneで2倍圧群、正常圧群、コントロール群に比べて有意に高い輝度を呈した。また各zone毎の検討では、すべての群においてzone2での活性酸素発生が高い値であった。 昨年度の光顕による組織学的検討結果と本年度の結果を併せて、Surgery Todayに投稿するべく、現在準備中である。
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