研究概要 |
Affymetrix gene chip (12,629遺伝子)を用いた包括的な遺伝子スクリーニングにより、胃癌再発予測に用いうる遺伝子11個を見いだし、定性的nested PCRが可能なTFF1,FABP1,CK20,TFF2,MUC2(A群)と、定量的PCRの導入が必要なMASPIN,GW112,PRSS4,MDK,SOX9,CDX1(B群)に分けられたが(K.Mori et.al. BBRC,313,2004,931-937)、今回同社の別のgene chipの検索からB群にTACSTD1が加わった。そこで1.Real-time PCR (MJ Research^<TM>のDNA Engine Opticon System)診断系2.Multiplex PT-PCR法とカスタムアレイの診断系において、陽性判定のためのカットオフ値を再度検討した。 1.Real-time PCR用の酵素キットがhot start Taqを用いたDyNAmo^<TM> HS SYBR GREEN qPCR Kitに変更となり、国立がんセンターの108例の洗浄腹水サンプルを用いて、CEAと12の新しい遺伝子について再度Real-time PCRを行い、陽性判定のためのカットオフ値を改めて設定した。正確で客観的な診断系構築のため、感度特異度が最高となる遺伝子の組み合わせを検討し、CEAとA群の5遺伝子、TACSTD1,PRSS4の8遺伝子のうち、3つ以上で検出されたものを陽性とすると、感度93%特異度92%となった。 2.Multiplex-RT-PCR法とカスタムアレイによるミニチップアッセイを、CEAと12の新しい遺伝子について、24例の洗浄腹水サンプルで行い、早期胃癌で高頻度に発現を認める3遺伝子を除外した。CEAとA群の5遺伝子、MASPIN,GW112,TACSTD1,PRSS4の10遺伝子に対し、愛知県がんセンターより提供されたサンプルを加えた145例の洗浄腹水サンプルを用いてミニチップアッセイを行った。カットオフ値が容易に設定可能なのはTFF1,TFF2,CK20,FABP1,TACSTD1の5遺伝子であり、2つ以上で陽性となったものを陽性とすると、同時性転移または再発に対し96%の陽性的中率を示した。 東大病院にて新たに約120例の洗浄腹水サンプルと約50例の胃癌手術材料を、国立がんセンターにて新たに約500例の洗浄腹水サンプルを採取した。
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