1)膵癌細胞株における抗癌剤耐性株の作製 基礎実験として、膵癌で臨床上最も汎用されているGemcitabineを用いて、反復投与法によりGemcitabine耐性株の作製を行った。具体的には0.1^〜10・MのGemcitabineに培養液を調整してを2~3日に1回反復投与していく。約10日から2週間で、恒常的に発育するGemcitabine耐性株ができる。実際にはPANC-1(膵癌細胞株)を用いて行った。およそ1μMで比較的良好に薬剤耐性細胞のセレクションができることが分かった。しかし、表現型として、耐性型PANC-1は、比較的継代するのに難があり、継代に弱い傾向があった。以上の如くに薬剤耐性細胞株を2種類作製した。 2)薬剤耐性株の評価 先の薬剤耐性株に対し、GemcitabineのIC50をMTSアッセイにより評価した。野生株と耐性株にはIC50において約20倍の差が認められ、薬剤耐性の遺伝子プロファイルを検討する材料としては優れているものが得られた。次にこれまでに抗作製した、PTEN抗体を各耐性細胞株について、ウェスタンブロッティング法を用いて、PTENの発現を検討する。同様にAktに対しても発現レベルを解析し、Akt-PTEN経路の膵癌における関与を検討する。 3)各種薬剤耐性マーカー遺伝子の評価 現在様々な薬剤耐性マーカーが知られており、これらのマーカーについて今回作製した耐性株を用いて、その発現の違いを、RT-PCR、ウェスタンブロッティング等の手法を用いて検討中である。
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