研究概要 |
膵島B細胞にもインスリンレセプターとIGF-1レセプター(IGF-IR)が存在し、細胞の分化誘導とインスリン産生に関与していることが分かっており、アポトーシス抑制にも関与していると思われる。ラット胎仔の膵臓から得られる膵島細胞塊(ICC)を用いて、IGF-1を加えた培養により膵島の細胞構築の形態、インスリン分泌(static incubation test)に与える影響をin vitroで検討した。IGF-1の濃度,培養の期間を変化させ、至適濃度、培養期間を明確にする。続いて、凍結保存したICCに対しても効果が得られるか検討した。ICCをマイクロカプセル化し、培養液のIGF-1の濃度を100,200,300,400μg/mlに設定し培養7日目と14日目のICC数を検討すると、control群は培養期間延長に伴い約20%減少したが、IGF-1を添加したICCは11〜20%増加したがIGF-1の濃度では差は認めなかった。Static incubation testでは、IGF-1の濃度に関わらずICCあたりのインスリン分泌量に差はなく、培養期間が延長すると分泌量は約20%まで減少した。次に凍結保存されたICCについてIGF-1の効果を検討した。解凍後7日間の培養ではIGF-1投与群、非投与群ともに数の減少は認めないが小さくなる傾向にあった。インスリン分泌能は非凍結時の約1/10に低下し、IGF-1を添加しても分泌能の改善は認められなかった。高グルコース+テオフィリンの刺激で反応しラ島としての機能は認められるがIGF-1の効果は認められなかった。 今後、IGF-1の濃度を800μg/mlまで上昇させ至適濃度を検討しラットへの移植に与える効果も検討する。
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