研究概要 |
癌治療には癌細胞自身の細胞死を誘導する方策と免疫細胞など宿主側の抗腫瘍効果を担う免疫細胞群の細胞死を防ぐ方策の両者が必要である。免疫遺伝子治療は上記両機能を合わせ持つ可能性がある。IFN, IL-12などサイトカインが持つ腫瘍免疫誘導能を用いれば生体の免疫能を強く賦活し抗腫瘍作用を誘導できる。これら強い,CTL誘導にはT細胞自身のアポトーシスの抑制がT細胞の生存を延長させている可能性が高い。またその効果がmemory phaseでのT細胞にも影響を与え、腫瘍再発や遠隔部腫瘍への効果にも深く関連しているものと推察される。IFN, IL-12などのサイトカインは生体のホメオスタシスの維持に必要不可欠な分子であり、強い免疫賦活作用を示し抗ウイルス、抗腫瘍効果を持つ。TakaokaらはIFNによるp53蛋白発現誘導を報告した(Nature.2003 July 16)。これらサイトカインとアポトーシスの関連が注目されているが、癌に対する腫瘍免疫という側面から宿主T細胞のアポトーシスについてはいまだ不明な部分が多い。このモデルでアポトーシス制御経路のシグナルを解明することによって、癌に対する窄主免疫細胞のアポトーシスと免疫反応のメカニズムを明らかにできる。本年度、癌細胞に対するサイトカイン遺伝子導入アデノウイルスの抗腫瘍効果と腫瘍細胞のアポトーシスにおよぼす影響と作用機序をin vitroで検討した。AdIL-12,AdIFN-βの抗腫瘍効果をMTS assayを行い検討した。現在p53遺伝子の表現系の異なる大腸癌細胞株HCT116 p53(+/+)、HCT116 p53(-/-)、SW480やその正常株CCD-18Co等に対し上記ベクターを使用し、各種癌細胞へのp53の関与を検討している。また各細胞群でTUNEL assayを行いapoptotic cellの割合を検討した。
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