研究概要 |
癌治療には癌細胞自身の細胞死を誘導する方策と免疫細胞など宿主側の抗腫瘍効果を担う免疫細胞群の細胞死を防ぐ方策の両者が必要である。免疫遺伝子治療は上記両機能を合わせ持つ可能性がある。IFN,IL-12が持つ腫瘍免疫誘導能を用いれば生体の免疫能を強く賦活し抗腫瘍作用を誘導できる。これら強いCTL誘導にはT細胞自身のアポトーシスの抑制がT細胞の生存を延長させている可能性が高い。その効果がmemory phaseでのT細胞にも影響を与え、腫瘍再発や遠隔部腫瘍への効果にも深く関連しているものと推察される。サイトカインとアポトーシスの関連が注目されているが、癌に対する腫瘍免疫という側面から宿主T細胞のアポトーシスについてはいまだ不明な部分が多い。このモデルでアポトーシス制御経路のシグナルを解明することによって、癌に対する宿主免疫細胞のアポトーシスと免疫反応のメカニズムを明らかにできる。本年度、癌細胞に対するサイトカイン遺伝子導入アデノウイルスの抗腫瘍効果と腫瘍細胞のアポトーシスにおよぼす影響と作用機序をin vitroで検討した。AdIL-12,AdIFN-βの抗腫瘍効果をMTS assayを行い検討した。p53遺伝子の表現系の異なる大腸癌細胞株HCT116 p53(+/+)、HCT116 p53(-/-)、SW480やその正常株CCD-18Co等に対し上記ベクターを使用し各種癌細胞へのp53の関与を検討した。また各細胞群でTUNEL assayを行いapoptotic cellの割合を検討した。さらに腫瘍特異的CTLを回収しMHC-I,MHC-II発現の検討しannexin V-FITC, PI-FITCによるFACSを行い、サイトカイン遺伝子導入アデノウイルスを使用した際の生体免疫担当細胞のアポトーシスの関与を解明する。
|