1)methylation-specific PCR(MS-PCR)法の検出感度についての検討 方法:陽性コントロールの希釈系列を作成しp16遺伝子プロモーター領域のprimerを用いてMS-PCRをおこなった。 結果:MS-PCR法はnested PCRとすることによって陽性コントロールの10^<-5>以上の検出感度にすることが可能であった。 2)原発巣腫瘍組織におけるメチル化の検出 対象・方法:連続的に切除された非小細胞肺癌43例の凍結保存された正常肺、腫瘍からそれぞれDNAを抽出し、sodium bisulfite処理を加えた後、MS-PCR法を試みた。 結果:43例中18例(42%)で腫瘍組織においてメチル化が認められた。 3)血清中からのメチル化の検出 対象・方法:原発巣腫瘍組織においてメチル化が認められた18例を対象とし、血清中からDNAを抽出して同様にsodium bisulfite処理を加えた後、MS-PCR法を試みた。 結果:18例中8例(44%)で血清中から腫瘍組織と同様のメチル化が検出された。 4)血清中メチル化陽性症例の予後、臨床病理学的因子の検討 結果:血清中からメチル化が検出された症例と検出されなかった症例の間で喫煙、病理病期、組織型、分化度などの臨床病理学的因子の違いの有無を検討したがいずれも有意差は認めなかった。予後に関しても術後観察期間中央値が449日と短く原病死症例を認めないことから明らかな関連性は見出せなかった。しかし2症例が再発し、担癌生存中であったがいずれも血清中のメチル化陽性症例であった。 5)まとめ・今後 p16遺伝子メチル化を指標としたnested MS-PCR法は簡便であり、且つ検出感度も高かった。再発予後との関係に関しては今後の更なる症例の蓄積と観察期間が必要であると思われた。今後は他の遺伝子での検索や血清蛋白での検討も加えたい。
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