研究概要 |
平成16年度 血管内皮増殖因子(VEGF)mRNAアンチセンスプローブの作成: 11C-ethylketene法を用いて,VEGF mRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドプローブを作成し,in situ hybridizationの結果から効果的なVEGF mRNAに対するアンチセンスプローブのsequenceとして5'-TGG TGA GGT TTG ATC CGC AT-3'が最適なものであることが確認された.一方、11Cで標識したmRNAアンチセンスオリゴヌクレオチドプローブの親和性を調べるために,antisehse-BioMag,およびsense-BioMagを用いin vitro hybridizationの効率を比較したところsense-BioMag fractionの方に35%の親和性の増加が見られた.これにてポジトロン標識アンチセンスプローブでも塩基特異的結合が起こっていることが示された. Rapid in situ hybridization法によるBrigati標識プローブの病理組織学的検索: 上述の方法により最適化されたアンチセンスプローブのsequenceにもとづき,Brigati標識VEGF mRNAアンチセンスオリゴヌクレオチドプローブを用いて海綿状血管腫切除切片におけるVEGF mRNA発現を組織学的に検討した.海綿状血管腫の手術標本から得た切片を用い,Brigati標識プローブ法によるin situ hybridizationを行いVEGF mRNAの発現を調べた.その結果,新生血管の内皮に発現が多く見られた.すなわち内皮細胞はturnover rateが高いために強くVEGF, HGが強く発現しているものと考えられる.一方,内膜,外膜には発現は少なかった.これらの結果から血管新生がある程度進んだ段階になるとVEGFの発現は減少傾向にあると考えられVEGFの発現が段階に応じてダイナミックに変化していると考えられた.
|