本研究の目的は「脳神経賦活マンガン造影法(AIM MRI)」、「マンガン造影経路トレース法(MnTT)」および「機能的磁気共鳴画像法(fMRI)」を使用して、大脳皮質、海馬および脊髄における神経障害の再生過程を機能的かつ形態的に評価できる新しい画像的評価方法を開発することにある。本年度は「各種神経障害モデルの確立と評価」および「マンガン細胞標識法の評価」を行った。 前者に関しては、1)大脳皮質における脳虚血モデル(Longa法および酸化チタン球による手法)、2)海馬領域における一過性心停止モデル、一過性の総頸動脈・椎骨閉塞モデル、3)脊髄における挫傷モデル、切断モデルの技術を確立、独自の改良と安定化技術を考案した。加えて、a)脳神経賦活マンガン造影法、b)マンガン造影経路トレース法、およびc)機能的磁気共鳴画像法の3種類の測定・実験手法について、撮像用のRFコイルの製作と4.7T(テスラ)動物用MRIにおけるシーケンス最適化を行った。また、米国国立衛生研究所のAlan KoretskyおよびAfonso Silva両博士の協力を得て、磁場強度11.7Tの高分解能MRIを用いた予備実験を行い、一定の成果を得た。 後者に関しては、MRI装置室に近い位置に細胞培養環境を整備し、1)異なる細胞種における標識時間や造影剤濃度の最適化、2)標識後の時間経過にともなう細胞活性の調査、3)標識後の時間経過にともなう造影効果の調査、4)1細胞あたりの造影効果および測定限界の評価、を行った。加えて、腫瘍細胞のin vivo標識法に関して、酸化鉄およびマンガンイオンの両面から、標識手法を含めて、その有用性と問題点を検討した。
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