研究課題
【目的】本研究では、ラット脊髄損傷モデルを作成し、磁気駆動型体内埋込み電極を用いて麻痺筋の刺激を行い、麻痺筋の筋萎縮回復・機能改善が可能か検証する。【方法】成熟Wistar系ラットを用いて脊髄損傷モデル(胸椎下位レベル)を作製し、完全麻痺になっている右下肢総腓骨神経近傍に磁気駆動型体内埋込み電極を埋込み、20Hz刺激を1日1時間1週間施行した。刺激終了後、前脛骨筋等尺性最大筋収縮力、myosin ATPase染色によるタイプ1・2A・2B線維の大きさ比較、RT-PCR法によるミオシン軽鎖・ミオシン重鎖mRNAの発現の違いを刺激側と非刺激側で比較検討した。実験は秋田大学動物実験委員会の許可を得て施行した。【結果】前脛骨筋の等尺性最大筋収縮力は、刺激側群で平均0.86±0.24N(Mean±S.D.)、非刺激側群で平均0.46±0.27Nであり、刺激側で有意に筋収縮力が大きかった(t-test ; p<0.0001)。Myosin ATPase染色による組織学的検索では、筋線維短径がタイプ1・2A・2Bいずれも刺激側群で有意に大きく筋萎縮進行予防変化を認めた。また、RT-PCR法による検索では、MHCIβ、IIa、IIbそれぞれのmRNA発現量のGAPDH mRNAに対する相対値は、刺激側群では1.1、1.3、1.0、非刺激側群では0.5、0.4、0.7となり、刺激側群で高かった。【結論】磁気駆動型体内埋込み電極による麻痺筋の刺激は、脊髄損傷後の筋萎縮および機能低下進行予防効果があることが明らかになった。磁気駆動型体内埋込み電極は、脊髄損傷者の麻痺筋に対する治療的電気刺激において有益である可能性がある。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
Proceedings of the 9^<th> Annual Conference of the International Functional Electrical stimulation Society 9
ページ: 279-280
リハ医学 41
ページ: 147-151