研究課題
【目的】本研究では、ラット脊髄損傷モデルを作成し、磁気駆動型体内埋込み電極を用いて麻痺筋の刺激を行い、麻痺筋の筋萎縮回復・機能改善が可能か検証した。【方法】成熟Wistar系ラットを用いて全身麻酔下に胸髄完全脊髄損傷モデルを作製し、完全麻痺になっている右下肢坐骨神経近傍に磁気駆動型体内埋込み電極を埋め込み、翌日から刺激を開始した。刺激条件は周波数20Hz、パルス幅0.2ms、最大上定電流刺激とし、1日2回各1時間1週間施行した。刺激終了後、刺激・非刺激側のヒラメ筋を摘出してmyosin ATPase染色により遅筋であるタイプ1線維、速筋であるタイプ2線維に分類し、筋線維短径を比較検討した。実験は秋田大学動物実験委員会の許可を得て施行した。【結果】Myosin ATPase染色による組織学的検索では、筋線維短径は刺激側、非刺激側の順にタイプ1で平均44.0±1.2μm(mean±SD)、39.0±0.7μm、タイプ2で39.1±1.0μm、36.2±1.3μmだった。タイプ1、2とも刺激側の法が非刺激側より短径が有意に小さくなり(p<0.05)、磁気駆動型体内埋込み電極による刺激は筋萎縮抑制効果があることが明らかになった。【結論】磁気駆動型体内埋込み電極による麻痺筋の刺激は、脊髄損傷後の筋萎縮および機能低下進行予防効果がある。磁気駆動型体内埋込み電極は、脊髄損傷者の麻痺筋に対する治療的電気刺激において有益であり、今後は最も有効な刺激条件の検索、至適刺激開始時期などの検証を進めていく必要があると考えられる。
すべて 2005
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Proceedings of the 10^<th> Annual Conference of the International Functional Electrical Stimulation Society 10
ページ: 273-275
Tohoku J Exp Med. 207
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