脊椎側弯症は脊椎が生理的彎曲を超えて彎曲する異常である。この側弯症は、おおまかに先天性・特発性・症候性の3つに分類されている。その中で先天性側弯症は、生まれつき脊椎の奇形・形態異常を有しており、成長と共に側弯が進行していく疾患であるが、脊椎以外に奇形等を認めない。Ishibashi ratは先天性に腰椎に後側弯症を持ち、そのホモ個体はほぼ100%脊椎異常を示す。しかしそれ以外に奇形を認めず、この点でヒト先天性側弯症に類似している。まずはIshibashi ratの形態学的特徴を解析するため、レントゲンを用いて側弯角・後弯角の測定を行った。30例中2例は正常な形態の脊椎を認めたが、その他の個体では局所後側弯や移行椎などの奇形を認めた。また、異常が生じる時期を同定するために、胎仔・新生仔の2重染色標本を作り、椎体における1次骨化中心が癒合していることを確認した。次に、レントゲンにて多くの個体で腰仙部における移行椎が確認されたことから、Homeoboxの異常が関与している可能性があると考えた。そこで腰仙部の椎体におけるHomeoboxのmRNAの発現を定量的に解析するために、Real Time-PCRを用いた実験を開始した。
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