1.滑膜細胞の培養とPEA3のウエスタンブロッティング 手術時に採取した滑膜組織から滑膜細胞を抽出し、3〜7回継代した滑膜線維芽細胞を用いてPEA3の発現をウエスタンブロッティングを用いて検討した。TNFαによる刺激で有効な細胞増殖能が得られなかったため、bFGFを用いて刺激を行った。 関節リウマチ(以下、RA)由来の滑膜細胞においては、恒常的にPEA3が発現しており、bFGFを用いた刺激により、濃度依存的にPEA3の発現が上昇していた。 変形性関節症(以下、OA)由来の滑膜細胞においては、恒常的なPEA3の発現は認めなかったものの、bFGFを用いた刺激により、一部でPEA3の発現を認めた。 2.ゲルシフトアッセイ 滑膜線維芽細胞から抽出した核蛋白を用いてゲルシフトアッセイを行った。手技の未熟さもあり、濃度依存的なPEA3発現の上昇は確認出来ず、現在RT-PCRを用いて更に検討中である。 3.パンヌス形成組織の免疫染色 RA滑膜組織においては炎症細胞の浸潤とともにPEA3陽性細胞の集簇を認めた。パンヌス形成組織においては、骨-滑膜境界部にPEA3陽性細胞が多く見られていた。 4.細胞増殖・浸潤アッセイの確立 細胞計数法、MMTアッセイを用いた細胞増殖アッセイでは、bFGF濃度依存的に細胞増殖能が亢進する事を確認できた。また、マトリゲルチャンバーを用いた浸潤アッセイでは、bFGF濃度依存的に細胞浸潤能が亢進する事を確認できた。 5.現在の進捗状況 RT-PCRによるPEA3発現の検討を行う一方、MAP kinaseを介したシグナル伝達系に及ぼす影響を明らかにするため、抑制系の実験を行っている。
|