目的:ラット局所脳虚血モデルを用い、ランジオロール、低体温およびランジオロールと低体温併用の脳保護作用を検討した。 方法:ハロタン麻酔・自発呼吸下の雄SDラット(280-310g)を用いた。対照群(生食、直腸温37.5℃)、ランジオロール群(50μg/kg/min、直腸温37.5℃)、低体温群(生食、直腸温35℃)、ランジオロール+低体温群(50μg/kg/min、直腸温35℃)の4群に分けた。体温調節後に各薬物の静脈内投与を開始し、24時間後まで継続した。薬剤投与30分後より中大脳動脈閉塞モデルにて脳虚血を作成した。2時間の虚血後に22時間の再灌流を行った。低体温群では虚血終了時より復温を開始した。虚血24時間後に神経学的欠損スコアを評価し、脳を2.3.5-triphenyltetrazolium chlorideにて染色し脳梗塞の体積を算定した。数値は平均±標準偏差でしめした。統計処理は分散分析を行い、P値0.05未満を有意差ありとした。 結果:神経学的欠損スコアは対照群(27.5±9.8)と比べ、ランジオロール群(9.1±4.0)、低体温群(10±8.1)、ランジオロール+低体温群(6.5±3.6)で有意に低値であった。梗塞層の体積(大脳皮質、線状体:mm^3)は対照群(205±55、82±3)に比べ、ランジオロール群(44±42、12±14)、低体温群(56±56、13±11)、ランジオロール+低体温群(31±19、10±10)で有意に減少した。 結論:ラット局所脳虚血モデルにおいて、ランジオロールの虚血前投与、低体温療法、両者の併用は脳虚血保護作用を示したが併用療法による保護効果の改善は認められなかった。
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