グルタミン酸受容体作動薬AMPAの脳血管に及ぼす影響を使用する麻酔薬の違いによって検討した(静脈麻酔薬プロポフォールおよび吸入麻酔薬イソフルランとセボフルラン)。ハロセン麻酔下のラットを人工呼吸により二酸化炭素分圧を35〜40mmHgになるように管理し、頭部に脳軟膜血管を観察するための有窓(Cranial window)を作製した。作製終了後からそれぞれの麻酔薬(プロポフォール0.8-1.2mg/kg/min、イソフルラン1-1.5MAC、セボフルラン1-1.5MAC)に変更し麻酔管理を行なった。体温は小動物用体温保持装置を用いて、直腸温が36.5〜37.5℃で保たれるように管理した。 100μMのAMPAを5分間有窓内に投与を行い、連続的に脳血管径を観察した。麻酔薬の違いはラットの呼吸・循環動態に影響を及ぼさなかった。プロポフォール麻酔下におけるAMPAの脳血管拡張反応は、イソフルランおよびセボフルラン麻酔下における脳血管拡張反応より低下している傾向が観察された。また同じ吸入麻酔薬でもセボフルラン麻酔下での血管拡張反応がイソフルラン麻酔下での拡張反応より低下している傾向が観察された。 以上のことから本年度の研究において、メカニズムは不明であるが、投与されている全身麻酔薬の違いによってグルタミン酸受容体作動薬(AMPA)のラット脳軟膜動脈の血管拡張反応に差異が見られることが示唆された。
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