研究概要 |
1.行動学的手法による異常行動検出 神経因性疼痛モデルには、マウスの左第5腰神経を結紮するChungモデルを用いた。Chungモデル群およびその対象(神経非損傷)群をそれぞれ8匹ずつ作成し、情動行動の変化を観察した。情動行動変化の検出にはオープンフィールドテスト、明暗実験箱、高架式十字迷路、強制水泳試験を行った。両群で不安・うつ行動に明らかな差が検出された。 2.海馬の取りだしおよびRNAの抽出 それぞれの群のマウスから左全海馬を取りだし、Qiagenキットを用いてRNAを抽出し、精製した(約5μg)。 3.DNAチップ解析 Chungモデル群からは最も不安・うつ行動の増強が検出された1匹のRNAを選出し、対照群からは任意の1匹のRNAを選出した。DNAチップ解析にはアマシャム社CodeLink(マウス用:約20,000遺伝子)を用いて委託解析した。2倍以上の発現増加もしくは、1/2以下の発現低下を示した遺伝子は約400抽出された。現在は発現変化を示したそれら遺伝子について当モデルとの機能関連についての情報を収集し、それら遺伝子群の相互関係を検討している。今後は400の遺伝子からさらに選別し、RT-PCR法を用いて2群間の海馬における遺伝子発現変化を確認する作業に取りかかる。
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