心筋虚血再灌流障害においてTNF-αなどのPro-Inflammatory Cytokineや、ICAM-1などの接着因子が障害の進展に重要な役割を果たしているが、これらの制御機構である転写因子Nuclear Factor kappa-B(NF-kB)の役割についてはいまだ不明な点がある。揮発性麻酔薬は薬理学的PC効果を有し、ATP感受性カリウム(KATP)チャネルを開口することで心筋虚血再灌流障害を抑制する。近年、揮発性麻酔薬が敗血症におけるサイトカイン産生、細胞障害の抑制することが明らかになってきているが、その分子制御メカニズムであるNF-kBとの関連についての研究はない。 平成17年度はNF-kBと薬理学的PC効果の分子機構の検討を行い、以下のことを明らかにした。 1、ラット心筋細胞株H9c2を用い、NF-kB強制発現株・アンチセンス株を作成した。 2、NF-kB強制発現株では、揮発性麻酔薬、P-1075、ジアゾキサイドによる保護効果が増強したが、アンチセンス株では保護効果が抑制された。
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