心筋虚血再灌流障害においてTNF-αなどのPro-Inflammatory Cytokineや、ICAM-1などの接着因子が障害の進展に重要な役割を果たしているが、これらの制御機構である転写因子Nuclear Factor kappa-B (NF-kB)の役割についてはいまだ不明な点がある。揮発性麻酔薬やPDEIII阻害薬は薬理学的PC効果を有し、ATP感受性カリウム(KATP)チャネルを開口することで心筋虚血再灌流障害を抑制する。近年、揮発性麻酔薬やPDEIII阻害薬が敗血症におけるサイトカイン産生、細胞障害の抑制することが明らかになってきているが、その分子制御メカニズムであるNF-kBとの関連についての研究はない。 平成18年度はNF-kBと薬理学的PC効果の分子機構の検討を行い、以下のことを明らかにした。 1、PDEIII阻害薬のミルリノンが心筋スタニング改善作用を有すること。 2、PDEHI阻害薬のオルプリノンが心筋虚血再灌流障害や敗血症による心筋障害に対して保護作用を有し、その機序にNF-kBが関与することを明らかにした。
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