脳においてAQPは水の移動だけでなく、様々な機能を持っている可能性があると考えられているが、具体的な機能はほとんど分かっていない。一方で、脳浮腫は頭部外傷、脳血管障害、脳腫瘍など様々な病態に随伴して発症し、しばしば致命的となるが、その病態は、Astの膨化(水の移動による)とそれに伴う二次的神経細胞死と考えられている。AQPが脳浮腫に関与している可能性はこれまでの研究から示唆されているが、その発生機構は十分に解明されていないのが現状である。 本研究では、浸透圧変化に対するAQPの発現変化と脳の水分変化との関係のデータを収集する。さらには、病的状態(脳浮腫)におけるアクアポリンの発現変化や病的状態に現在臨床で行われている治療薬(高張NaCI液、高張マンニトール液、等張NaCI液)により浸透圧変化を加えたときのアクアポリンの発現変化と脳水分の変化などからAQP発現と脳浮腫発生の関連性を調べる。脳水分はカールフィッシャー法で測定。アクアポリン発現はウエスタンブロットにて検出する。それらの結果からAQP発現の調節を主眼においた新しい脳浮腫治療法確立へのヒントを得たい。
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